九州ベテルクリニック福岡トランスジェンダー/GID性同一性障害外来では、設置以来、ジェンダークリニック/ジェンダー外来初診の方に対し、GIDガイドラインに沿った適正な診療プロセスによる診断と身体の治療への導入を行なってきています。
しかしながら、九州ベテルクリニック福岡トランスジェンダー/GID性同一性障害外来が設置される前の時点でガイドライン外で美容外科にて乳房切除・睾丸(こうがん)摘出等の外科手術を受け、当院での形成外科・婦人科・泌尿器関係の治療・修正・援助、当院での診断とセカンドオピニオン、その後の大学病院や海外タイでのSRS、名の変更(GID氏名変更)と性別変更の審判のための申し立てサポートを求めて、当院トランスジェンダー/GID性同一性障害外来に受診される方も多くあり、事実上の混合診療と看做されうるような状況となってきました。
従来は、かつての九州におけるGID診療環境と治療環境が整備されていなかった点を考慮し、このようなガイドライン外で美容外科にて乳房切除・睾丸(こうがん)摘出等の外科手術を受けてきたような方へのカウンセリングや診断などのサポートも行ってきましたが、これをもって九州福岡におけるトランスジェンダー/GID性同一性障害外来の周知とGID診療環境・治療環境の整備は完了したと判断しました。
よって、当院では、2017年8月以降にガイドライン外で美容外科にて乳房切除術・睾丸(こうがん)摘出等を受けて来られた方への診断やサポートは差し控えることとなりました。ガイドライン外からガイドラインへの再導入もお受けできません。
なお、当然ながら、当院にて適正に診断を受けて、GIDガイドラインに沿って身体の治療への導入をした方は、今後も引き続き大学病院並びに国立病院へのご紹介と転送を受けられます。しかしながら、GIDガイドライン外で、美容外科主導による乳房切除や睾丸(こうがん)摘出・精巣摘出を受けてこられた方の場合については、下記のような制限や不都合・不便・不利益が生じることがあります。一生に関わる問題ですので、ひとりで軽々な判断をせず、まずは当院にご相談ください。
以下、上記の告知と重複する部分もありますが、今後の措置と対応について簡単に記述しておきます。
1.当院では、2017年8月以降にガイドライン外で美容外科にて乳房切除術・睾丸(こうがん)摘出等を受けて来られた方への診断やサポートは差し控えることとなりました。ガイドライン外からガイドラインへの再導入もお受けできません。
適用除外1)手術実施日が2017年7月31日付けの方までは、引き続き当院で診療とサポートを継続します。
適用除外2)他県から九州に転入してこられた方はこの限りではありません。
適用除外3)上記の他やむにやまれぬ事情があり、それが合理的であると格別に首肯しうる場合
2.かねてより、美容外科にて乳房切除術等を受けて来られた方が、その後の合併症の治療や修正に大学病院や国立病院に保険診療で受診にこられることが問題となっておりました。美容外科にて乳房の手術を受けて、その後の予後不良の治療に国立病院機構 長崎医療センターに受診された方の事例(当院はその手術に一切関与していません)で、「美容外科で受けた乳房外科手術の予後治療と修正は美容外科で完結されるべき」との決定がなされたため、当院ではこのような大学病院並びに国立病院機構の判断を尊重し、2017年8月以降にガイドライン外で美容外科にて乳房切除術・睾丸(こうがん)摘出等外科手術を受けて来られた方を、九州各県の大学病院並びに国立病院機構の隷下病院へ紹介・転送することは差し控えることとしました。
3.現時点では、GIDガイドラインに沿った診断プロセスにのっとっても、かつてのような治療の遅れが生じることはありません。あえてGIDガイドライン外で美容外科にて手術を受けて、以後の保険診療と戸籍変更等の行政手続き、法的手続きにおいて困難が生じるリスクを犯すだけのメリットも必要性もありません。
4.たとえ東京の精神科クリニック名義の診断書を取得して美容外科で乳房切除術等を受けた場合であっても、それはガイドライン外ですので、上記の取り扱いの例外にはなりません。
5.このような大学病院や国立病院機構の取扱いは、現行法における保険適応の可否の判断基準に準拠したものです。保険診療の公費負担分を支払う保険組合(社会保険事務所、国民保険事務所)は、保険診療外の美容外科診療と一体と見える診療につき、保険医療機関の保険請求を拒否します。しかるに、保険医療機関は、美容外科における手術の予後不良の治療並びに修正は、保険適応外として取り扱わざるを得ません。これは、GID医療のことのみならず、すべての美容外科手術に当てはまることです。
6.特に、公務員の方、看護師・理学療法士等の医療資格職の方が、美容外科にてGIDガイドライン外で焦って乳房切除術・睾丸(こうがん)摘出等を受けるメリットは全くありません。慎重かつ理性的な思慮及び判断をしてください。
7.このような取扱いは、GID/MTFにおける、睾丸(こうがん)摘出・精巣摘出を受けてこられた方であっても同じです。ただし、当面は、福岡市内の保険医療機関(泌尿器科・形成外科)への紹介と転送は行ないますが、自費診療になります。
8.東京の精神科クリニック名義での診断書または乳房切除・睾丸(こうがん)摘出を受けた美容外科の診断書を持ち込まれても、当院・大学病院・国立病院の精神科のいずれにおいても、それらのGIDガイドライン外の診断書に基づいてセカンドオピニオン・ホルモン治療・その余の診療を行うことはありません。また、当院・大学病院・国立病院の精神科の診断プロセスが早まったり、ショートカットできたりすることも有り得ません。
急ぐ方・経済的に余裕がある方の、ショートカットでの海外での形成外科手術
相談の実例:「MTFです。数年前に診断書発行センターから診断書だけもらいました。手術はする気はないのですが、女性として扱われて女性として生活し続けたいです。しかし、診断書発行センター名義では会社に出すのに体裁と聞こえが悪いので、そちらで診断書だけ出し直してもらえますか?病名は絶対に性同一性障害でお願いします。」
→そういうことはしておりません。診断書発行センターやそれと類似のところには一切関与しません。
相談実例:「MTFです。東京の美容外科で睾丸摘出だけしてきました。そこの美容外科名義で手術証明書のようなものをもらい(そこの先生は「性別違和により」と書いてくれています)、勤務先で女性扱いしてもらえるように会社に出しましたが、会社の人事部から「美容外科名義の書類では女性扱いはできない」と言われました。そちらの精神科名義で、「性同一性障害」の病名で「診断書」として発行し直してもらえます?
→そういうことはしておりません。
相談の実例:「アテンド業者の紹介で提携の診断書発行センターから診断書をもらって手術を受けました。しかし、検査漏れと診断書の形式不備・意見書の不備があり、戸籍変更できていません。そちらで必要な検査と裁判所に通る診断書を発行しなおしてもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談の実例:「アテンド業者の紹介で提携の診断書発行センターから診断書をもらいました。しかし、裁判所から「そこの診断書は受け付けられない」といわれて戸籍変更の申請もできない状況です。そちらで裁判所に通る診断書を発行しなおしてもらえますか?なお、住んでいる地域の大学病院からは断られましたので、近くにはかかれる病院はありません。」
→そういうことはしておりません。
相談の実例:「アテンド業者の紹介で提携の診断書発行センターから診断書をもらって手術を受けました。そちらで1日でセカンドオピニオンをもらって、その日に診断書をもらって帰れますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「地方の美容外科で乳房切除だけをしてきましたが、診断書をもらえません。そちらで診断書だけ1日でもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「これまで精神科にかかったことはなく、手術まで一切ガイドラインに沿わずにやってきましたが、手続きの点で行き詰りました。治療はほとんど終えているので、いまからガイドラインに戻してもらえますか?近くの大学病院では予約も取ってもらえませんでした。」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「近所の精神科の先生のところにかかって、無理を言って性同一性障害の診断と日本語の簡易な診断書発行まではしてもらいました。ところが、海外向けの文書や英文診断書の作成・発行はできないといわれました。そちらで英文診断書や推薦状の作成・発行だけしてもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「地方の近所の精神科の先生のところで診断書をもらって、それをアテンド業者に渡してタイで手術だけは受けてきましたが、診断書をくれた近所の精神科の先生のところでは裁判所に提出する診断書の作成経験がなく、戸籍を変えられません。戸籍変更に通る裁判所用の診断書だけを作成してもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「大手の美容外科で、ガイドラインに沿って進めると聞いていたのでそれに従ってホルモン注射と手術を受けましたが、途中で転院してSRSをタイで受けました。そのSRSの後に途中までかかっていた美容外科からガイドラインの書類をもらおうと思っていたら、これこれの検査が足りないので書類はだせないと言われました。そちらで足りない検査だけを受けさせてもらって、戸籍変更の診断書と足りない書類の作成をしてもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「アテンド業者の紹介で提携の診断書発行センターから診断書をもらってタイでSRSまで手術を受けおわりました。その後地域の管轄の大学病院にかかろうとしましたが受け付けてもらえません。そちらで診断書だけもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「アテンド業者の紹介で提携の診断書発行センターから診断書をもらってタイでSRSまで手術を受けおわりました。その後近所の精神科数件と関東の有名どころのGIDクリニック・ジェンダークリニックを回りましたが、どこからも「あなたはGIDではない」との判断で、身体の手術は全部終わったのに戸籍を変更できません。そちらで診断書の発行と戸籍変更の手続きだけをしてもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「いついつに、どこどこで、これこれの手術を受けることになっていて、すでに予約済みです。その手術のための診断書・英文診断書・推薦状・染色体検査などが全く足りません。そちらに初診ですが、必要なものを揃えてもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「いついつに、どこどこで、これこれの手術を受けてきました。腫れがひどくて浸出液もでており、患部の色が黒くなってきており、熱が高いです。そちらで感染症・合併症の治療と形成部位の修正だけしてもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「ホルモン注射経験者です。いついつに、福岡に旅行・出張に行きます。旅先でのホルモン注射だけスポットでしてもらえますか?」
→そういうことはしておりません。
相談実例:「海外から個人輸入で内服だけしています。そちらで定期検査とカウンセリングだけしてもらますか?」
→そういうことはしておりません。こちらでホルモン注射に定期で通われるか遠隔プログラムをされる場合は定期検査をお引き受けします。
相談実例:「地方住みです。近所で小さいころから馴染みの先生に、ホルモン注射だけはしてもらえることになりました。しかし、その条件として一度ちゃんとジェンダークリニックで診てもらってくることという条件を出されました。1日でGIDの診察と診断だけしてもらえますか?先のことはまだ何も決まっていません。」
→そういうことはしておりません。「先のことが何も決まっていない」という状況でホルモン注射だけを可とする書類など出せません。それこそきちんとカウンセリングと将来計画が必要な事例です。
相談実例:「同性愛者ですが、心は女性っぽいと思っています。手術の希望はなく、自分でもGIDでないことはわかっているのですが、会社のシャワーや更衣室を個室で使いたいのと、野外イベント等を欠席したいので、便宜上GIDか何かの診断書をもらえますか?」
→そういうことはしておりません。同性愛は病気・障害ではないとされているので、それをGIDと読み替えたり解釈したりして便宜的取り扱いを求めることはできません。
相談実例:「女装家/異性装障害/オートガイネフィリア自己女性化愛好症寄りだと自認していますが、心は女性っぽいと思っています。自宅やイベントごと、週末などは女装で過ごすことも多いです。典型的なGIDでないことは自分でもわかっていますが、便宜上GID/GDの診断書をもらえますか?外科手術の希望も予定もありません。
→そういうことはしておりません。美容目的としての女性ホルモン注射と定期検査であれば受けられます。
相談事例:別の医療機関にて、保険診療プロセスにいます/生活保護・医療扶助・自立支援給付で通院しています。そちらで、保険診療受診の件とは別に、こっそり自由診療で注射治療・外科治療を受けられますか?
→そういうことはしておりません。他院にかかる混合診療及び同一疾患にかかる多重受診は厳にお断りします。
相談事例:民間の〇〇保険に入っています。そちらで一連の治療を受けたあと、費用を保険で払い戻したいのですが対応してもらえますか?
→そういうことはしておりません。民間保険は、ネット情報では保険金が出るようなことが書いてあっても、実際に出るかどうかは個別事情と特約によります。保険会社とのやりとりには手間がかかりますので、あらかじめお断りしております。
信じられないようなエピソードもあるように思われる方も多いでしょうが、上記はいずれも本当にあったご相談・お問い合わせです。これらと同様類似の相談問合わせも非常に多いです。特に、『どこどこでこれこれしたものを「だし直してくれ」・「やり直してくれ」・「作り直してくれ」とおっしゃってくる方が多いですが、過去に他所でどうであったにしろ、こちらではそのご本人様の最初からの経緯を知らないので、軽々しく即席の対応はできません。
当院は24時間・365時間受付けですし、たいていの無理や困りごとはなんとかして差し上げます。しかしながら、それは最初から最後まで当院にかかって、面倒を見てきた方に対してです。これまで全く経緯を知らない方の件について、ある不都合の部分だけなんとかするというのは無理なことです。
ご注意通則
(1)電話での予約・問合せは受け付けていません。生活保護・医療扶助・自立支援給付並びにその余の各種公的給付は受付けていません。GID/GDによる性別移行においては、原則としてRLEを充足するため、就学・就労等によって社会適応と自活ができている必要があります。
(2)「1日診断」「1日診断書発行」はしていません。不適切業者への関与・協力依頼並びにトランスジェンダー自称者の反社会的行為について(例え間接的にであっても)利益となる可能性がある行為及びその余の不適切行為への関与・協力依頼は厳にお断りします。
(3)統合失調症、普通のうつや不安障害、気分障害などはそれ単体では診ていません。
(4)気持ちが後ろ向きな方・積極性がない方・根暗な方・現実社会から離れてSNS電脳世界に耽溺している方・社会/制度/法律などに不満を抱きやすい方・物事を被害的にとらえやすい方・肉体の違和感が極めて軽い方・生活においてや経済的に余裕がなさすぎる方は性別移行には向きません。
(5)「Xジェンダー」「FTX」「MTX」「NBノンバイナリー」等の造語による書類は一切お出ししていません。
(6)自費診療のみ受け付けます。国保・社保・生保・自立支援給付・罹災証明・民間保険などは受付けていません。特に、手間がかかるソーシャルワークや行政の福祉係とのやりとりは一切致しません。