女性の身体から男性の身体に変更する場合(FTM):

 

女性ホルモンの血中濃度を抑制し、男性ホルモン(テストステロン)の血中濃度を増やす、というのが基本的な治療方針となります。

FTMで行なう男性ホルモン治療では、主に男性ホルモン剤又は蛋白同化ステロイド剤の2系統から選択します。男性ホルモン(テストステロン類)剤又は蛋白同化ステロイド剤のいずれについても、日本薬局方登載の薬剤に加えて、複数の選択肢をご用意しています。

ご相談者様の体質・アレルギー等病歴等の直接的に治療に関係することについてはなるだけお話しをお伺いしたいとは思いますが、基本的にお話しいただけることのみお話しくださればけっこうです。保険診断を取得されたFTMの方の場合は、積極的な男性ホルモン治療のご希望にも応じます。

 

1.男性ホルモン(テストステロン類)又は蛋白同化ステロイド内服

トランスジェンダー GID性同一性障害(FTM)の治療の基本です。男性の更年期障害の治療における治療薬と用法用量を基準に、お客様のご希望をお伺いしながら、具体的な実施案を検討します。

 

2.男性ホルモン(テストステロン類)又は蛋白同化ステロイド注射

男性ホルモン(テストステロン類)又は蛋白同化ステロイド内服薬に加えて、より強力で効率的な治療成果を求められるお客様への治療です。

 

3.長期間作用型抗テストステロン薬(抗テストステロン・抗デヒドロテストステロン) 注射

この治療法は,本来は前立腺癌の治療法として開発され,英国における臨床で確立されています。前立腺癌の治療法とはいえ、一般の抗癌剤による化学療法のような副作用はありません。現在では,女性の乳癌治療や男性のボディビルダー等の筋肉増強ステロイド乱用後の内分泌治療への応用も研究されています。この抗テストステロン薬の作用は,男性ホルモンを投与するというものではなく,脳下垂体に働きかけ,体内の自然な内分泌をコントロールして,女性ホルモンの産生を抑制します。

 

4.抗デヒドロテストステロン 内服

男性ホルモンのうち、好ましくない男性的な特徴の発現・形成(薄毛・にきび・脂症等)につき、より強く関与するデヒドロテストステロンの血中濃度をコントロールするお薬の内服治療です。月初の5日間で、1日2錠 計10錠のお薬を内服していただきます。作用が28日間と長いお薬ですので、一般の内科におけるトランスジェンダー治療のような毎日の内服にうんざりな方にも適した治療法です。

 

5.補助的な血栓予防薬 内服

更年期障害のホルモン治療では、使用するホルモン剤の用量も大きくなっていることもあり、血栓のリスクを心配する方もいらしゃいます。そこで、血栓リスクをご懸念になるお客様のための補助的な治療オプションとして、血栓予防薬の内服治療をご用意しております。

 

トランスジェンダーGID性同一性障害の治療法提案

 

 

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1 男性ホルモン剤か蛋白同化ステロイド剤か

男性ホルモン剤ではエナルモン、蛋白同化ステロイド剤ではプリモボラン、という銘柄の薬剤の処方が一般的です。

男性ホルモン剤では、体毛の多毛・にきび吹き出物・薄毛発症等の男性化の好ましくない側面が出やすくなります。蛋白同化剤では、骨格の変化・筋肉の増強・男性的なのどぼとけへの変化といった男性的な肉体へのと身体を変えていく作用が強調される一方、男性ホルモン剤のような男性化の好ましくない側面は少ないといわれています。

日本では、薬剤の選択は、「日本薬局方」というリストの中から選択するのが原則ですが、男性ホルモン剤と蛋白同化ステロイド剤とのいずれも、事実上エナルモンとプリモボランしかなく、選択の幅は非常に狭いのが現状です。そのため、「日本薬局方」に登載されていない海外の薬剤も、個別具体的な状況で、選択肢として検討することができます。なお、GIDガイドライン上の「ホルモン療法」は次のように記載されています;「MTFの場合,エストロゲン製剤やゲスタゲン製剤の投与を行う。FTM では,アンドロゲン製剤の投与を行う。」

 

2 男性ホルモン剤又は蛋白同化ステロイド剤の投与方法

(1)内服 1日7mg 1カ月30日で合計210mg程度を目処とします。内服の仕方は、毎日飲む方法から、数日に1回飲む方法まで様々です。この用量は、成人男性の正常な内分泌機能が維持されている状態での精巣の男性ホルモン分泌が1日7mg程度であるためです。

(2)注射 エナルモン125mg,、エナルモン250mg、プリモボラン100mgの3種類を中心に選択します。注射のサイクルは、1週間に1回~1ヶ月に1回程度のサイクルで検討します。

 

3  月経生理を止める ためのGnRH偽閉経治療をする場合の選択肢

(1) 点鼻薬 毎日1日3回

子宮筋腫・子宮内膜症の適応がある薬を使います。

(2) 注射 月1回または2週に1回

前立腺がん・小児GIDの第二次性徴発現阻止の目的で使われている薬を使います。

 

 

 

 

 

 

 

 

FTMホルモン治療の選択肢(治療薬と用量用法を中心に)